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ゴールデンパールの物語

ゴールデンパールの物語 第二話 前編

写真:生後3か月の稚貝

ゴールデンパールの物語 第二話(前編)

東南アジアの秘境でカルチャーのギャップを越えるのは、なかなか大変なのです。いくつかエピソードをご紹介しますと・・。
朝、現地スタッフから連絡があり「家で育てている子豚がアナコンダに食べられて、蛇を退治しに行かないといけないので仕事をお休みしたい」とか・・。
夜道でスカンクを踏みつけてしまい、ひどい臭いがとれないので、職場に出禁にされた工場長とか・・・。

現地での食材が日本人には合わないといいますか、フルーツを食べるオオコウモリをスープの材料に使うのはダメでしょう。オオトカゲはいくら美味しいと勧められても無理です、勘弁してください。

一番不安を感じたのは、クリスマスパーティーでヒートアップし過ぎて過呼吸症になり倒れた人が出て、村人が連れてきたのが医者ではなく、祈祷師だったことでしょうか・・

彼女は私から煙草を奪い、その煙を患者に吹きかけながら呪文をブツブツ。過呼吸症ですから呼吸が落ち着くと自然に正常に戻るわけですが、回復した患者を見て、村人からは畏敬のこもった「おぉ〜」という歓声が・・

そういう様々なギャップと戦いながらも仕事には一生懸命に取り組んでいたのです。本当です!

1992年ごろから天然貝を集めて挿核手術を施し、数年間は天然貝産の浜揚が続いていました。その個性の強い天然貝を用いて、いかに白系の真珠を作るかということに没頭していた我々ですが、同時進行で行っていたのは、人為的に天然貝の雄と雌を放卵・放精させ、採苗貝を作り育てるという試みでした。

採苗貝のメリットは生産性の高さにあります。各1個体の雄・雌から数万個の個性が均一の子供が作出されるため、生産できる真珠の色や大きさをそろえやすいのです。

1995年あたりから天然貝を卒業し、作出した採苗貝を用いた真珠作りに切り替わっていきました。「これでいよいよ白い真珠の量産ができるかも」とか「量産型ザクを手に入れた我が公国(注1)の未来は明るい」などと話していたのですが、実際、生産量は飛躍的に増加して、1998年ごろには年間30貫程度の収穫ができるようになっておりました。

時代背景としては、インドネシアでは既に採苗貝による南洋真珠の生産に切り替わっていましたし、やっと他の生産者の皆さんに追いついたというところであったと思います。
(第二話(後編)に続く)

 
(注1) ザクとは、『ガンダムシリーズ』に登場する架空の兵器。作中、敵方となるジオン公国の主力人型ロボット兵器を指す

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