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ゴールデンパールの物語

ゴールデンパールの物語 第二話 後編

写真:ホワイトリップの採苗貝

ゴールデンパールの物語 第二話(後編)

真珠の品質はご存知のとおり、形・大きさ・テリの優劣・巻きの厚さ・キズの有無・色という6つのファクターで評価されます。試験研究材料として最適な数千から数万個の個性のそろった採苗貝を用いて、それらの品質をどうやって上げていくか、という試みを数千ヘクタールの漁場エリア全体を使って実施し始めました。

その試験研究期間で改めて実感したのは「真珠作りにおいて品質を上げるために人ができることは少ない」ということです。

たとえば、巻きの厚い真珠を作るために、オペの手法を変えて試験区を設け実施すると有利な手法は確かに見つかります。しかし、オペした貝を垂下する場所が異なると、良いと思われるオペ方法でも結果が伴わず、巻きが弱い。

色についても同様で、場所により、黄色みの強く出てしまう場所とそうでない場所があり、オペ方法でどれだけ白系の珠が出るように工夫しても、場所によっては黄色い色つきの真珠に育ってしまうなど。つまり、人間が人為的に品質を良くするためのオペ操作より、はるかに環境由来の要因で品質が決定するのです。

もうね、頭を抱えましたですよ・・鬼の上司からは相変わらず「もっと白系の珠を増やすことはできないのか?」と言われ続けておりましたし・・

上司から与えられたハードルは難易度の高いものでしたが、結果的には真珠の巻きの良い垂下場所の特定や、干渉色を伴うテリ感の出やすい場所などのデータが手に入ったため、水揚げされる真珠のサイズアップやテリ感上昇など、総合的に品質は良くなっていきました。(白系を増やせなくてゴメンナサイ)また、作出する採苗貝においても、成長の速い母集団とそうでないものがあり、オペ操作以外にも採苗という手法で品質を上げることが可能だということもわかってきました。

ところがデスネ・・世紀末目前の1999年に入ってのことです。白い真珠作りを目指していた我々に思いがけないことが起こりました。まさに青天の霹靂・・「大自然というものはキミたちの手に負えるものではないよ」と海の神様は驚くような現実を我々に突き付けたのでした・・
(第三話に続く)

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